住まいづくりの4つの柱

天然素材は「快適な住まい」の第一歩 / 天然素材が持っている不思議な力

天然素材を知る

古くは「日本の建築は木と紙と土で出来ている」と表現され、その土地で取れる天然の素材を中心に、経験に裏打ちされた高い技術によってつくられてきました。近年ではコストやメンテナンスなどの点で新建材が利用されることが多くなりましたが、天然素材には有害な化学物質をほとんど含んでいない点に加え、調湿作用や断熱・耐火性・消臭など、素材自体が元々持っている優れた特性があります。 素足で歩いたときや手で触れた際に優しさや温もりを感じ、手をかけ時が経つほどにそれぞれの材料が持つ個性や風合が味わいを深めていきます。自然の恵みとも言うべきこれらの特性は新建材では得られない天然素材の持つ大きな魅力です。

木・無垢材

木は住まいを構成する建材で、構造から仕上げ・家具にいたるまで多くの部分で使われます。様々な種類の木が住まいづくりに利用されていますが、材木の中でも天然素材と言われるのは無垢材と呼ばれるものです。無垢材は原木から切り出され、乾燥の後に形状や表面加工のみされた物で、複数の木を貼り合わせ加工された合板等とは異なり、本来の木そのものが持つ特性を生かした家づくりが可能になります。

木の特性

断熱効果 無垢材は天然の断熱材

十分に乾燥された無垢材は、空気を含んだ無数の細胞から出来ており高い断熱性を兼ね備えています。この特性は同じ木でも、薄い板を何重にも重ねて接着して作られた合板の材料では得られないものです。 木の種類によって断熱性能は異なりますが、大きく針葉樹と広葉樹に分けられます。杉や松などの針葉樹は、ナラ・ケヤキなどの広葉樹に比べて比重が軽く、空気を多く含んでいるため高い断熱特性を持っています。また、比重が軽く柔らかいということで、足腰への負担が少なく、靴を脱いで生活する日本人にとって適している素材とも言えます。

調湿効果 切られても呼吸する木

木には環境の変化に応じて水分を吸ったり、吐いたりする特性があり、製材され建材となった状態でもその特性は失われません。無垢材を使うことで室内の調湿効果が生まれ住まいの快適性を高めます。

癒し効果 天然のアロマテラピー

木から発せられる芳香成分のフィトンチッドが人の自律神経の安定や肝機能の改善、快適な睡眠をもたらすなどの効果が得られることがわかっています。無垢材をつかった住まいには森林浴とおなじ心身のストレスをやわらげる効果があります。

無垢材のココに注意!

木の中の水分量が変化することで木の体積が変化し反り・割れ・隙間などが発生することがあります。これは十分に乾燥されたもの、反り止めの溝が入っている物を選ぶことに加え施工時に一定の”あそび”を設けることで最小限に抑えますが、これを問題とするかどうかはそれぞれの感性によるところが大きく、万人に受け入れてもらえるものでないことは確かです。

広葉樹に比べて針葉樹は柔らかく傷が付きやすいので注意が必要です。特に床材として使う場合には室内の用途に合わせて検討し、サンプルを実際に触り感触を確認した上で選択するとをおすすめしております。

珪藻土

日本建築の壁は古くから竹などを格子状に編んだ下地にわらや麻などを混ぜた土を塗り重ね、漆喰等で仕上げる土壁が使われてきました。近年では本来の土壁で家が建てられることは少なくなりましたが土壁の特性が見直され、左官仕上げによる珪藻土などの壁材が注目されています。リフォームではビニールクロスの上に専用の下地処理を行って塗ることも可能です。

珪藻土は、太古の昔に水中の植物性プランクトン(珪藻)の死骸が海底や湖底に積み重なりその殻が長い年月をかけて化石になったものです。珪藻の殻はガラスと同じ二酸化ケイ素が主成分で無数の孔があいた構造(多孔構造)をしており化石となったあとでもその構造が保たれています。その独自の成分と構造から七輪の原料や漆塗りの下地作り材料、産業用のフィルターなどに使われ、天然素材の建材としても優れた特性を発揮することから珪藻土を主材料とした多くの壁材が製品化されています。

珪藻土の特性

小さな穴がもたらす効果

珪藻土の特徴は小さな穴が無数にあることです。比重が軽く空気を多く含んでいるため、調湿、断熱と言った特性を持っています。その他にも、遮音・吸音性があり音が響かず、消臭・脱臭効果で室内をきれいな空気にしてくれる作用もあります。

優れた耐火性能

珪藻土の主成分はガラス質の土で出来ているため、燃えることが無く耐火性に優れています。珪藻土の原石にバーナーを当てた試験では約1300度で長時間熱しても変色するだけで燃えないという結果が出ています。

珪藻土のココに注意!

珪藻土はそれのみでは固まる性質がないため、壁材として流通している珪藻土には固化材、骨材、着色材等が混ぜられています。ここで注意しなければならないのが主材料である珪藻土以外の材料で可燃性の物質や合成樹脂などの有害な化学物質を発生させるものがが入っていないかどううかという点です。合成樹脂が使われていれば珪藻の孔を塞いでしまい珪藻土がもつ本来の特性を発揮できませんし有害な化学物質が含まれていれば何のために珪藻土の壁を選ぶのかが曖昧になってしまいます。主なメーカーは材料の成分を公開しているので検討する際にはサンプルなどと合わせて確認することが重要です。

天然素材を適材適所で取り入れる

住まいを構成する建材は、木、金属、コンクリート 、石、セラミック、ガラスなど様々な素材からできています。 近年立てられた住まいでは天然素材よりも「新建材」とよばれる建材が多くの割合で使われているのが実情で、人工的につくられた新建材には一定の基準が設けられているものの合成樹脂、化学薬品、接着剤等を含んでいるため注意が必要です。

すべての建材を天然素材で賄うことは現実的ではないかもしれませんが、 床・壁・天井といった目に見える場所・表面積の多い場所に優先的に取り入れることで素材の持つ良さを実感することができます。
游工房ではご家族が健康で快適に暮らせる住まいをつくるためにご予算や生活スタイルに合わあわせて天然素材を取り入れたプランニングをご提案しております。

次のページ:3.キッチン重視のプランニング