弊社の冊子がN様のお住まいに近いケーキ屋さんに置いてありそれを手に取って頂いたのがきっかけでお問い合わせを頂きました。
N様のお住まいはハウスメーカーで建てられた鉄骨2階建住宅。中古で購入し、4年ほど前にはキッチン、バス、トイレ、洗面所、洗濯室のリフォームを行い、フローリングや壁紙等の仕上げも新しくされていました。比較的規模の大きいリフォームでしたが、依頼した会社は基本的にカタログから製品を選んで設置・施工するというスタイルで細かい要望などは「カタログに無い。」「そういうことは出来ない。」ということで断られ、住まい全体をまとめるプランニングやアドバイスをもらうことも出来なかったそうです。
当時は、そういうモノなのか・・とN様も納得していたそうですがどこかに「自分たちの住まいづくり」ができなかったという思いを漠然と感じていたそうです。
そのようなお話を直接伺った段階で、簡単な提案をさせていただくと「そんな事が出来るんですかっ!?」と目からウロコが落ちたように何度も驚かれていました。
N様のご要望自体はシンプルなものでした。
以前のリフォームではかなわなかった事などを踏まえ、
生活スタイルを反映した「住まいのカタチ」になる様に
ご家族も住まいづくりに参加出来る形でプランづくりがスタートしました。
1階部分の約半分を占めるLDKと洗濯室。以前のリフォームで設備や仕上げを一新されています。しかし、リビング・ダイニングには落ち着いてくつろげる場所がなくせっかくの大きな空間を持て余してしまっている状態でした。
専用の洗濯室は独立した小部屋になっています。一般的には問題ないのですが、共働きのご夫婦にとって洗濯は夜間に行うことが多く家族とすごせる貴重な時間を孤立した場所で洗濯物に費やさなければならないのは解決したい問題の一つになっていました。
以前のリフォームで新しくしたシステムキッチンと背面の収納はまだ綺麗で十分使えるのでそのまま残し、その他の部分を見直す事になりました。
リフォーム前のキッチンまわりの収納はキッチン本体内部のキャビネットと背面の収納のみ。細々としたものまで収めるには少し足りないという状態でしたので、キッチンの背面収納を延長する形で同じ並びに天井まで使えるを収納を追加し、LDKと洗濯室を仕切っていた壁を取り払ってカウンター付きの収納棚を設置しました。大容量の収納を2ヶ所設置したことで、大きなものから小さなものまで余裕を持って収められるよう十分な収納力を確保しました。
勝手口部分には防犯も兼ねた防犯ガラス入りの内扉を取り付け勝手口との間にはオープン棚とゴミ置き場を配置。キッチンの中には置いておきたくないものを上手く隠す事ができます。また、冷蔵庫の位置を変更し収納部分を含めてキッチンが広く使えるようになりました。
使える部分は残しその他の部分を生活スタイルに合わせてしっかりと作りこんだことによってこれまでより使いやすく整理のしやすい環境になりました。
リフォーム前のダイニングは1×3mの大きなダイニングテーブルがありそこで食事も読書も子供たちの宿題もする多目的なスペースで、その他の家具や造作物などは何も無い状態でした。
広いスペースの中に身の収まりが良くて居心地良く感じられるような場を作るため、壁際に造りつけの長いベンチを設けました。クッションは市販されているものに裂き織りのカバーをオーダーで制作したものを使っています。また、ベンチは収納を兼ねておりキッチン側はダイニングテーブルがあることから背もたれ部分がが開きリビング側は物を取り出しやすい引き出し式になっています。
以前使っていた大きなダイニングテーブルは天板を際利用してテレビ台を作り新たに6センチ厚の松の無垢材で天然素材の空間に合うダイニングテーブルを制作しました。
2人のお子様はベンチの両端を気に入ってくれたようで、リビングで過ごす際の定位置となっているそうです。広いスペースに家具を配置するだけではなく生活スタイルに合わせて造作で作り込むところは作り込み家族がそれぞれ居心地良くすごせる場をつくりました。
LDKの開口部の内側にはすべて木製の建具(内扉・ガラス戸)を設けました。サイズに合わせてひとつひとつ建具屋さんが制作したもの。二重の窓になったことで4つの効果を得ています。
特殊な防犯ガラス「セキュオ」を使用し安全に安心して暮らすための防犯対策としました。
二重構造になったことで断熱性と遮音性を高める効果が得られます。木製建具なので既製品のサッシほどの気密性はありませんが、結露がおきることも少なくなり、冷暖房の効率も上がります。
すべての開口部に木製の建具が入ったことによってLDKのインテリアに統一感を持たせる事ができました。天然素材にもマッチしたパイン材の格子窓です。
住まいの中に家族が集り、読書や工作・宿題などをする場所をつくって時間を共有したいというのがN様のご希望の一つでした。
リフォーム前は大きなダイニングテーブルでほとんどの事をまかなっていましたが、今回のリフォームではLDKの一角を利用して新たに本棚とデスクを設けました。食にまつわることはキッチンとダイニング、それ以外の事はリビングとデスクコーナーで。ひとつながりのLDKの中にもそれぞれの用途にあった場を作り、棲み分けを行うことで家族が別のことをしていてもひとつの空間に集まり適度につながりを持ちながら時間を共有することが出来ます。
デスクコーナーは造り付けの家具ですが、大半の部分を家具屋さんの工場でつくり、最終の組み立て作業だけを現場で行いました。現場で一からつくるよりも、工作機械や設備の充実している工場でつくる方が、工期が短くすみ、精度が高く、仕上がりも美しいものになります。
リフォーム前の洗濯室はLDKの一角にある独立した小部屋でした。一般的に洗濯室は脱衣所や独立した場所を選んで配置されますが、共働きのN様にとって洗濯は夜間に行うことが多く家族とすごせる貴重な時間を孤立した場所で洗濯物に費やすのは解決したい問題の一つになっていました。
そこで、LDKとの関係を改めるために一旦壁を取り払ってキッチン側には収納家具、リビング側には格子の引き違い窓を入れ仕切りなおし、洗濯機置場と流しのついたカウンターを新たに設置することにしました。洗濯室を孤立させていた扉はなくなり、窓を通じてリビング側にもつながりを持てる場所になり、床・壁・天井の仕上げをLDKと統一したことでバックヤードでありながらも、それをを感じさせない空間になりました。
住まいを心地良くするための一つとして、仕上げや造作の材料に天然素材をふんだんに取り入れたました。天然素材は断熱性や調湿性、消臭作用など、素材自体が元々もった優れた特性があります。また、素足で歩いたときや手で触れた際に優しさや温もりを感じ、時間と共に素材の持つ風合いが味わいを深めていくのが特徴です。
それぞれの素材が持つ特性などをN様にご説明した結果、床材はモミの木無垢材のフローリングにオイル仕上げ、壁・天井には珪藻土のエコ・クイーンをお選び頂きました。LDKと洗濯室の床・壁・天井を共通の仕上げにしてまとまりをもたせ、その他の部分についても天然素材を取り入れて快適な空間になりました。